― 配列やCollectionと大きく異なる、Dictionaryの強み ―
1. はじめに
VBAでデータをまとめて扱うとき、配列やCollectionを使ったことがある方も多いでしょう。
しかし、「データを探す処理」が必要な場面では、**Dictionary(ディクショナリ)**が圧倒的に便利です。
その理由は、「キーによる高速検索」ができるからです。
この記事では、配列やCollectionとDictionaryの違いをわかりやすく整理し、なぜDictionaryが検索に強いのかを初心者向けに解説します。
2. 配列やCollectionの検索の弱点
⚫️配列の場合
配列では、データを探すとき、通常は先頭から順番に調べる必要があります。
これは「線形探索」と呼ばれ、データが多くなると処理が遅くなります。
Dim arr(1 To 5) As String
arr(1) = "田中"
arr(2) = "鈴木"
arr(3) = "佐藤"
arr(4) = "山田"
arr(5) = "高橋"
Dim i As Integer
For i = 1 To 5
If arr(i) = "佐藤" Then
MsgBox "見つかりました!"
Exit For
End If
Next i
このように、見つかるまで順番に全てのデータをチェックする必要があります。
⚫️Collectionの場合
Collectionも同様で、インデックス番号や順番でアクセスするため、特定のデータを内容で検索するには、やはり順番に探すしかありません。
3. Dictionaryの強み:キーによる高速検索
Dictionaryでは、データを登録する際に「キー」を設定するため、そのキーを使えば、一瞬でデータを探し出すことができます。
⚫️検索の具体例
Dim dict As Object
Set dict = CreateObject("Scripting.Dictionary")
dict.Add "001", "田中"
dict.Add "002", "鈴木"
dict.Add "003", "佐藤"
'キーを使った高速検索
If dict.Exists("003") Then
MsgBox dict("003") '結果:佐藤
End If
このように、キーを指定すれば、配列のように順番に探す必要はなく、即座に該当データにアクセスできます。
4. 実際の処理速度イメージ
データ量が増えれば増えるほど、Dictionaryの強みが際立ちます。
データ件数 | 配列・Collection(順番に探す) | Dictionary(キー指定) |
---|---|---|
数件 | ほぼ差なし | 非常に速い |
数百件 | 徐々に遅くなる | 変わらず高速 |
数千件以上 | かなり時間がかかる | ほぼ即時 |
※ 実際の処理速度は環境によりますが、理論上、このような違いがあります。
5. まとめ
Dictionaryは、キーによる高速検索ができるため、以下のような場面で特に効果を発揮します。
✅ データ件数が多い場合
✅ 頻繁にデータを検索・取得する必要がある場合
✅ データを「名前」でわかりやすく管理したい場合
配列やCollectionにはないこの特長を理解すると、効率の良いVBAプログラムが書けるようになります。
「データ探し」が発生する処理では、ぜひDictionaryを活用してみてください!
コメント