目次
1. オブジェクト指向とは何か?VBAにおける立ち位置
- プロシージャ指向とオブジェクト指向の違い
- VBAでも「オブジェクト指向」は可能:制約とできること
- 実務におけるOOPのメリット(保守性・再利用性・拡張性)
2. OOPの3大要素(カプセル化・継承・多態性)とVBAでの解釈
■ カプセル化(Encapsulation)
- データと処理を1つのオブジェクトにまとめる
Private
メンバー +Property Get/Let
による外部アクセス制御- 状態の保護と整合性保持
■ 継承(Inheritance)
- VBAでは直接の「継承」はサポートされていない
- 「インターフェースの模倣」や「共通処理を親クラス風に持たせる」設計例
- クラスモジュール間の委譲(delegation)による継承風構造
■ 多態性(Polymorphism)
- 複数のクラスで同一インターフェース(同名メソッド)を実装する
- VariantまたはObject型を使った動的なオブジェクト切替と実行
- 実装例:
PrintData()
を各オブジェクトが独自に持ち、統一呼び出し
3. VBAでOOPを実現するための基礎構造
- クラスモジュールの使い方(
Class_Initialize
,Property
,Method
) - 複数のクラスをまとめる親クラス・コントローラクラスの役割
- Collection/Dictionary によるオブジェクト管理
Implements
を使った簡易インターフェースの模倣方法(VBA限定)
4. 実践:OOP的に設計されたExcel操作ツール
■ 例:社員情報管理ツール
ClsEmployee
(社員オブジェクト)ClsEmployeeManager
(社員一覧の操作クラス)- シートとの連携:1行を1オブジェクトとして読み込み・出力
■ 拡張性のある構造
- 新しい属性が追加されたときの修正箇所最小化
- UI処理とビジネスロジックの分離(OOP設計の真価)
5. OOP設計で注意すべき落とし穴
- オブジェクトが不要に肥大化する(過剰な抽象化)
- 目的のないクラス分割は逆に可読性を下げる
- 集約と責務のバランスを考えた設計が重要
6. OOPとその他のVBA技術との連携
- OOPとADO(データベースアクセス)を組み合わせた設計
- OOP × API連携:クラスでリクエストとレスポンスを表現する
- JSON・CSVなど外部データとのOOPベース変換構造
7. まとめ:VBAにおけるOOPの現実的な活用方針
要素 | VBAでの実現可否 | 備考 |
---|---|---|
カプセル化 | ◎ | Propertyで制御可能 |
継承 | △ | 模倣可能、完全継承は不可 |
ポリモーフィズム | ○ | Implements や Variant で対応 |
インターフェース | △ | 擬似的に再現可能 |
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